中1国語でいま読み進めているのは『動物農場』という小説です。
かなり奇妙な小説だと言えるでしょう。
まず、登場人物の大半は動物です。
喋ったり、少しなら書いたり読んだりもしますが、まぎれもない牛や馬、豚といった農場の動物たちなのです。
「登場動物」といったところでしょうか。
動物が主人公というと、童話のようなどこかほんわかとした物語をイメージしますよね。
でも、実際はもう少しシリアスなのです。
動物たちは、人間が自分たちの生み出す富を奪い取っていると「気づいて」しまい、人間を追い出して支配者のいない平等な社会をつくろうという壮大な革命を始めていきます。
しかし、動物たちの自由と平等の精神は少しずつ、ほんの少しずつ監視社会と独裁政治にとって代わられていく。
ついには動物革命のリーダーであった豚たちが、人間に代わる新しい「主人」となっていくのです。
こうした展開のみならず、動物たちが「どうしてそんなことになってしまったのか」を最後までわかっていないところが、本当に背筋を寒くさせるようなお話です。
これは決して想像架空の「おとぎ話」ではありません。
むしろ、現実の歴史や社会の「たとえ話」なのです。
前回ブログは産業革命のお話でした。
そのとき怒りの声をあげたのがカール・マルクスというドイツ人の経済学者です。
今回ブログの写真の人物ですね。
彼はかねてから、工場で働く労働者たちがどんなに懸命に働いたとしても、いっこうに豊かにはならないことに疑問を持っていました。
普通は働けば働くほどに利益は増していく。
現に工場はばく大な利益を生み出し、会社は発展しているではないか。
ではなぜその富はどこへ行っているのか?
「労働者が生み出した富は、何の労働もしていない資本家たちに、不当に奪われているのだ」
これがマルクスの導き出した結論でした。
「資本家」とは工場や会社に対して資金を出している、オーナーのような存在のことです。
では資本家や経営者をなくせば、労働者たちだけの公平な社会を作れるのではないだろうか?
この「マルクス社会主義」という考え方が、動物たちの思想のモデルです。
さらに「社会主義」は現実世界でもロシア革命という大きな動きにつながります。
そして「ソビエト社会主義共和国連邦」という、新しい国家として結実するのです。
しかし、『動物農場』で描かれたように、ソビエト連邦は公平平等な理想郷とはなりませんでした。
それはなぜなのでしょう?
次回の私のブログではその問題にもつながる、「国」という仕組みのはじまりについて考えてみたいと思います。
お楽しみに!