~世界に注目されるイベントが続く日本、日本人はどうあるべきか~
2019年のラグビーワールドカップ日本開催、そして翌年の東京オリンピック、さらに2025年の大阪万博と、これから日本を中心とした国際的なイベントが続きます。ここ20年間で「インターナショナル」や「グローバル」といった言葉が耳目を集める機会が急激に増えてきました。教育においても「国際教養学部」といった呼称の学部が数多く新設されています。
この20年ほどの情報技術の進歩、特にインターネットやスマートフォンの普及に伴い、世界中の情報に簡単にアクセスできる時代になりました。ネットインフラさえ整備されれば、アフリカの未開の地からでも瞬時に情報を伝達できます。かつて発展途上国と呼ばれていた国々も、この情報伝達スピードが向上した社会に適応し、その存在感を高めているのです。対して経済立国日本といえども、とりわけSNSやシェアリングサービス、電子マネーの普及率などのデジタル分野で比べると、このような国々に対して大きく後れを取っています。質の高い良いものを作る技術力があるということと、ものすごい速さで集まる情報を適切に処理し、その変化に対応できるということは必ずしもイコールであるとはいえないでしょう。
情報が無償化され誰でも簡単に素早く欲しい情報にアクセスできる世の中は一見便利に感じます。しかし、そのためには大量の情報の中から必要なものを取捨選択する力が必須となるのです。こういった世の中の変化に気づかず、次世代を担う子どもたちが旧来の量産型教育を行っている高校や大学に進学するという状況が続けば、資源が乏しく技術大国として発展してきた日本は世界に取り残されてしまうかもしれません。そういった意味で、2020年の大学入試制度改革や学習指導要領の変更をポジティブにとらえ、それらを主体的に活用することができれば国際的な教養人を育てることにつながることでしょう。
~インターナショナル、国際人という言葉を真剣に考える時期が来ている~
幼少期から子供に英語を学ばせる、英語圏の生活に触れさせるというご家庭は増えております。初等教育に当たるインターナショナルスクールには1年待ちの状態になっているところもあるそうです。確かに語学を学ぶには幼少期が一番いい時期です。なんの疑問を持たずに真似をする、興味を持って取り組んでくれる時期に語学を学ばせることは非常に有効な手段です。一方で、ただ単に英語が話せるだけでなく、習得した言語でクリエイティブなアイディアを発信し、新たな価値を社会に提供できるような人物こそが、これからの国際化した社会で最も活躍するようになっていくのです。
そのために必要なチカラは“視点切り替え力”です。
視点切り替え力
・想像力を発揮して相手のことを理解する力
・相手の立場に立ってものごとを考える力
これからは自国と相手の文化や歴史感を融合させて新しい価値を作り出していく時代です。ものを売る対象は国内にとどまりません。相手が何を欲しているのかを探るためには相手の国の歴史や文化を深く理解し、自国のそれと融合する力を身につけなければなりません。これは“想像力をベースにした創造力”とも言えます。まずは自分の国の歴史や文化に精通し、それを自分の考えや意見に反映できるレベルの理解へと高めていく。このようにして得られる教養を、しっかりと地に足をつけて身につける教育こそが必要です。
私自身、英会話教室でイギリスの高校で教鞭をとっていた先生に教わっていたことがあります。その時に必ず聞かれたのは「日本の歴史について君はどう思うか、例えば神道は日本人がどのくらい理解して身近なものとしてとらえているのかを具体例を挙げて説明してほしい」など、それまで私があまり考えてこなかったことばかりでした。当然英語で聞いてくるので英語で答えるのですが、それ以上に大変なのは自分がそこまで深い歴史観を持っていなかったという事実でした。一方で諸外国の人たちは自分の意見を反映させた歴史観を持っていることに、高い矜持を持っているのです。
これからの時代―とりわけ子供たちが直面する10年後20年後の社会はただ歴史的事実を知っているだけではなく、それに対してどう考えているのか、どう活用していくのかが大切です。自分の今までの人生でその歴史観をどのように活用してどういう成果が得られたのかを認識し、諸外国の方々と想像力を駆使しながら、それぞれの歴史観や文化感を融合させて新しい価値を作り出していくという時代に今後は入っていきます。いや、もう既に入っているかもしれません。そして日本人の繊細さや寛大さが様々な分野で生かされることを自覚しながら、「自分の生き方のプラン」を早い時期に立てるべく、様々な分野に積極的にかかわっていく主体性も必要になってきます。
お子様がこれから大人になって世界で活躍するときに自信をもって生きていけるよう、最高の環境をご提供すべく職員一同務めて参ります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。