2021 クセジュ小学部 対談

▶︎ 早い時期から英語を学ぶうえでのメリット・ディメリット0615o-8790094-1253065
川口:
ここでお三方1人ずつ質問します。まずはエレメンタリーイングリッシュの鈴木先生。冒頭にもお話していただきましたが、英語の幼児教育がここ10年の間にかなり増えてきている感じがします。現状に対して何か感じること、思うことはありますか。

鈴木 : 良い部分は、自己肯定感が高まることですかね。繰り返しになりますが、算数や国語と違って、英語は初めて自我が芽生えた後に全員一斉にスタートする科目なので、「自分は英語ができる!」と思うことは少なからず良い影響があると思います。

川口:逆に問題点があるとしたらどういうところですか。

鈴木 : 「長年やっているけど今ひとつ成果がでない」と逆に自信を失ってしまうケースもあるので、「早い時期からの英語教育の目的が何であるか」さらには「英会話ができるようになること以外に何を学べるか」が大事だと思います。

川口:英語が話せるようになる、英文が読めるようになるということは英語の一番の目的ではないのでしょうか?

鈴木 : 極端なことを言うと「英会話」は後10年もすればAIが代わりにやってくれます。とはいえ英語で会話ができることは武器になると思いますが、それ以上に重要なのは「異文化理解」だと思います。

柳通 : 難しい言葉を使って話していても、内容はあんまりないな…ということってありますよね。話せることだけを目的にするとそうなるということですか?

鈴木 : そうです。以前海外に住んでいた時に友人から「健太は日本人なのになんでチョンマゲじゃないの?」と聞かれたことがありました。小学生の時なのですが、外国に住んでいる小学生の「日本」の認識はそんな感じなのです。逆に我々自身も、理解していない価値観、考え、常識、文化がたくさんあるはずです。それを学び、「違いを受け入れる寛容さ」を身につけることこそが最も大切です!そうすることで会話の中身もより一層濃くなってくると思います。

池村:異文化理解が多様性理解につながり、創造力を育むきっかけになりひいては独創性や発想力につながるという考えですね。これは「真の国際人とは何か?」という問いへのクセジュの回答のひとつでもあります。

▶︎ 教育の現状とこれからの在り方について

川口:鈴木先生のポリシーはよく伝わりました。さて柳通先生に聞きたいです。これも冒頭に軽くお話していただきましたが、講師という立場をいったん離れ、保護者として見た時に今の公教育について感じることや考えさせられることはありますか。

柳通 : 「アクティブラーニング」や「ICT教育」というように国際基準の教育システムの導入をはじめるなど、これまでの知識を教え込む型の指導スタイルを変えるべきだ、変えなくちゃいけないという気風の高まりは学校の先生方と話す中でも実際に感じます。

池村:でもそのような日本からすれば「新しい教育スタイル」は現在現場で教えている先生の誰も実際に受けたこともないし、見たこともないものなんですよね。ということは、先生と生徒、学校と保護者がこれから新たに創造していくものであって、基本の形が出来上がるまでにはかなり長い年月を要するのではないでしょうか?

柳通 : 私もそう思います。またその授業を担当する先生や学校、生徒によっての差もこれまで以上に大きくなるのではないかなとも感じます。

川口:それは具体的にどういうことですか?

柳通 : 授業参観でも、子供たち同士で話し合いながら進めているクラス、パワーポイントを使った発表を行っているクラス、先生の説明を聞いて指名された生徒が答えを言い、それに対してクラスのみんなが声を合わせて正解だと言うクラスと授業スタイルは様々です。とにかく何でも新しいものを導入する方が良いというわけでもないので、子供たちに実際どのような影響があるのか、理解度はどうなのかという点は心配です。

川口:その他何か感じることはありますか?

柳通 : 以前、鈴木先生と欧米の学校と日本の学校の基本スタンスについて話したことがあるのですが「同じことを同じようにやること」に重きを置く日本、「違うことを違った方法でやること」を推奨するアメリカという根本的な学習スタイルの違いに気づきました。0615q-3626226-3138494
鈴木 :
覚えていますよ。確かその時は「日本の学校の場合は相手の意見に賛成か反対かと答える場合にも決まったひな形があり、それに沿って発言しないと発言自体が認められない風潮がある」と言いました。

川口:そういえば誰かの発表についてみんなで声を合わせて「いいです」とか「ちがいます」とか、一度席を立っておきまりの定型文に当てはめて発言する様子は私が小学生の頃もありました。ずいぶん昔ですけど(笑)。

柳通 : 今もあまり変わらないと思います。また、叱られたりほめられたりする場面も日本とアメリカでは違うようです。

池村:アメリカが良くて日本がダメということではなく、すべては多様性に対する理解度と対応の違いだと思います。アメリカはもともと多民族国家ですし。しかし今現在は日本にも外国籍の人は多くいますし、家庭環境も様々ですからね…。

柳通 : 確かにここ東葛地区は新興住宅地の開発エリアも多く、様々な土地から引っ越して来る人も多いですね。公教育でも、多様性の理解や対応はすでに大きなテーマになっていることと思います。

川口:そういえば「全員平等」を目指していく教育は今や姿を消しつつあり、道徳の教科書、その他の教科書にも多様性や他者への理解、自分で考えて試すことをテーマにした内容がたくさん入っています。

柳通 : 一方で、習慣的に「全員平等」を求められる場面は未だ多くあり、カリキュラムやシラバスの内容と実際の指導に齟齬が生じているように感じます。「手順の順守」や「一斉に」ということへのこだわりは日本にかなり根強く残っていると感じます。教科書の内容が変わったからといっても、そういった習慣はなかなか変わるものではないという難しさを実感します。

池村:テキストや環境が変わっても実際に教育に直接かかわる大人たちの意識をどう変えていくのか、指導技術をどう身につけていくのかという問題は今後も続いていくのかもしれませんね。

川口:改革には非常に時間がかかると思います。文科省がモデル授業をどんどん打ち出して公立の学校の先生方に頻繁に研修をするという方法が変化のスピードを上げるには一番効率的だと思いますが、それこそ学校を一斉休校にでもしない限り先生方を集めることも容易ではないし、変化の必要性を感じていない人は教員にも保護者にも生徒にもいて、スピードを速めればその分、抵抗も強くなるでしょう。

柳通 : 学習塾の中でも実際に今後の時代を見越して取り組んでいる塾とそうでない塾もあります。これもまさに多様化のあらわれなのではないかと思います。どんな力をつけてあげたいか、どんな環境で学ばせたいかなど、保護者の選択によって補うというか、対応していくしかないのかなと感じます。

鈴木 : ちなみにクセジュはどちらだと思いますか。

柳通 : 当然前者です(笑)

▶︎ クセジュで学んだことを活かした人生を歩んで欲しい

川口:それでは池村先生に質問です。池村先生は小学生の頃からクセジュに生徒として通い、その後クセジュの先生を約30年近くやっています。人生のほとんどをクセジュと共に生きているといっても過言ではありませんね?(笑)クセジュで学んだことがどのような場面で生かされていると感じますか。0615t-5700137-4655411
池村:
何十年も前の話なので記憶が定かではないですが、“ 友人のスゴさがわかる ” というか、「この人の発想、今の自分からは出てこない」と思わされることが多かったと思います。

鈴木 : 自己評価が下がり、自己肯定感をなかなか持つことができなかったということですか。

池村:そうではありませんでしたね。彼らが常に刺激になっていたので自分ももしかしたらできるようになるかもしれないという気持ちでした。これが例えば一般的な塾でやっている既成の問題を解いて解説していくだけのものだったら、自己肯定感は持てなかったと思います。

川口:授業や先生からだけでなく、クラスメイトにも刺激をもらったということですか?

池村:はい。刺激をもらいましたね。またクセジュ教育が今に生かされているとしたら、どんな仕事内容であっても「なにか面白いものにしたい」ということを思考の軸にするようになったことです。

川口:なるほど。後輩でもあるクセジュの生徒たちに何かメッセージはありますか?

池村:表現の仕方が難しいのですが、クセジュの生徒には「物質的に豊かになるためだけに学んでほしくない」と考えています。このご時世ですから何が起こってもおかしくありません。一時的に金銭的・物質的に苦労することもあるかもしれません。それでも自分にできることを探しながら前向きに生きていける人というのは、「それまでの学びを受験や就職の手段とだけ捉えるのではなく学びそのものに価値を見出している人」ではないかなと。

川口:役に立つ、立たないという基準ではなく、「趣深い」「美しい」、だからこそ知りたいという基準で学ぶことは感性を養うことにもなりますね。

池村:特に小学生は受験をしない選択が可能ですから、そのような利害関係のない時期に、できるだけ感性を磨くような勉強をさせてあげたいなと思います。

柳通 : 「美しい」から知りたいという考えは私も同感です。記述の添削や作文のコメントをつける時に、「美しい文章だね!」と書くことが良くあるのですが、シンプルかつ分かりやすい文章であったり、読んでいて美しいなと感じる表現であったり、心に響く文章を書く生徒はたくさんいます。美しいと感じる感覚は人それぞれです。あくまでも私の感想なのですが、そのような問いかけは「美しさ」について意識する1つのきっかけにはなるのではないかなと思います。

鈴木 : 感覚って本当に人それぞれに違うもので、人に説明するのも難しいし、人の感じていることを理解するのも非常に難しいですよね。

柳通 : 子供の場合、感じているけどそれを表現することがうまくできないということも多くあって、周囲から見ると何も感じていないように見えることもあります。「今この瞬間感じているこの感じ」はいつもの感覚なんだけど、その感覚の名前を知らないという状態です。そんな時に、誰かが「なんだか、切ないね」と言えば、「ああ、これは切ないという感じなのか」と自分の感覚に名前があることを初めて知るわけです。

川口:まずは誰かの感覚に触れること、美的感覚に限らず、あらゆる感覚を自分と他人を比べながら、同じところ、違うところを知ることから「美しい」への扉が開かれるということですね。では、皆さん、最後に何かありますか。

鈴木 : クセジュの教育の究極はやはり「独自の発想力」だと思います。そして独自の発想は、必ずしも「一人で行う」必要はないものだと考えます。人と話していると、すごいアイデアが思い浮かぶことがありますよね。私はこれを「脳を拡張する」と表現しています。拡張する対象が自分と異なれば異なるほど良いと思います。だからこそ「違いを受け入れる寛容さ」をエレメンタリーイングリッシュを通して鍛えていきたいです。

▶︎ 2021年 クセジュ夏期講習のココがポイント

川口:さて、最後になりますが、担当教科の2021年夏期講習の見どころについて簡単に語ってもらえますでしょうか。0615n-9001916-7181222
池村:
ナチュラルサイエンスでは、どの学年でも7月または8月のどちらかの講習で「図形」に関する内容を扱います。当然ルーツや背景に触れることもたくさんあります。クセジュ講師オリジナルの問題も多数用意していますので、一緒に粘り強く、そして楽しく悩んでもらえればと思います。

柳通 : ヒューマンサイエンスのコンセプトはずばり「自分の力を試して、限界を超える夏!」です。夏期講習は各学年ともに思考力を鍛えるカリキュラムになっています。小3・小6は文章作成の理論を学び、創作を行います。小4・小5は地理、歴史の知識のシャワーを浴び、それを使って「なぜ?どうして?」と考察する力を養います。 「本気で考えるってこういうことなんだ!」、「こんな文章が書けるなんて!」という経験をしてみたいという方、またはさせてみたいという保護者の方は、ぜひ参加していただければと思います。

鈴木 : エレメンタリーイングリッシュの夏期講習では新規受講者専用クラスを設置します。そこでは、「1学期に学んだことの総集編」を実施します。美味しいところをギュッとまとめて味わいつつ、クセジュ小学部英語らしいアプローチで初めてEEを受講する方にも安心して受けていただけるクラスです。

川口:皆さん、ありがとうございました。現在、夏期講習からクセジュの授業を始める皆さんも、今日お話ししたクセジュの授業が存分に味わえるように準備を進めています。 クセジュHP TOPへ

※ 対面イベント・授業について – 新型コロナウイルスの感染拡大防止に最大限配慮しながら実施しています。space-3014206-1693669

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