6月22日土曜日。先生たちの準備も終え、一息ついているところに、じめじめした暑さを吹き飛ばすような元気な声が聞こえてきます。
時間は9時50分。いろいろな教室から生徒が集まり始めました。本日はクセジュオリジナルイベント『個性発掘プログラム第二回』。今年のテーマは“食”です。
子供たちの個性を様々な角度から発見してそれを伸ばしていく。通常の授業以上にクセジュが力を入れているイベントです。中学受験コースの生徒たちもたくさん参加してくれます。
前回の授業は人間が知性を使って、食料を餌から料理に発展させるまでの歴史を学びました。キーワードは
◍ 二足歩行
◍ 火の使用
◍ 大航海時代とスパイス
◍ カレーについてそして今回のテーマは『おいしいって何だろう?』。
自分はおいしいと思うのに他の人はそこまでおいしいとは思わないという経験は誰にもあると思います。そもそも『おいしい』という感覚は人間共通のものなのでしょうか。
この問いに科学的に切り込んでいくのが今回の授業のメインです。
~「おいしい(味)」についての8つの疑問 ~
■ 100人いたら100人全員がおいしいと思うものは存在する?
■ おいしいものは体に悪いものが多い? 逆にまずいものは体に良いものが多そうなのはなぜ?
■ 過去の経験からおいしい、まずいと決めつけているもの、食わず嫌いなものがなぜ存在するの?
■ 味覚以外においしさを感じる要素があるとしたら何?
■ 隠し味はどういう効果があるの?料理番組でほんの少しだけ隠し味であるものを入れることがあるけど効果があるの?
■ “おいしい”の定義はテレビのリポーターなどが発言する言葉で決まっている気がする。実際はどうなの?そもそもリポーターがおいしい時に発言する言葉にはどんなものがあるの?
■ みんなが感じている味が、自分が感じている味と果たして同じなの?どうやって証明すればよいの?
■ ××に▲▲を混ぜると□□の味になるという都市伝説があるけど実際にはどうなの?そもそもどういうメカニズムで似た味になるの?
はじめに料理の味は舌で感じることは誰もが知っていると思います。
最近までは舌のどの部分がどの味覚になっているのかという説が常識でしたが、最近の研究ではそれが否定されているようです。
そもそも料理の味を感じる味覚にはどんな種類があるのでしょうか?① 甘味
② 塩味
③ うま味(ひらがな。漢字の旨味は料理全体の印象で味覚ではない)
④ 酸味
⑤ 苦味
です。
そこである生徒が「先生、辛味はないんですか?」とタイムリーに聞いてくれました。
実は辛味は味覚ではなく痛覚です。少し汚いお話になりますが辛い物をたくさん食べた後に便(大きいほう)をするときお尻が痛くなることがあります。
これがまさに辛味が痛覚であることの何よりの証拠!
また、あまりの辛さに「口の中が痛い」と叫んでしまった経験談を柏にあるカレーの名店「ボンベイ」のカシミールを例に挙げてお話しました。
うま味は日本人のよって発見され、その後発明されたのが「味の素」であるというお話をしたあと、そもそもうま味とは何かについて、さらに日本の出汁(だし)文化について解説しました。
そこで私が前日に作った大根の煮つけの試食会です。
「片方は出汁をとって作ったもので、もう片方はみりんとお酒と醤油、砂糖だけで煮たものです。さてどっちがおいしいですか?」
どちらかというと生徒たちよりも先生のほうが正解率が高かったようです。子供たちには甘味を強く感じるほうがおいしいと思ったのかな?
このようにうま味は必ずしも旨いというわけではないこと、
〇 うま味は味覚の中の1つ。うま味を感じるからといっておいしいと思うかどうかはわからない。
〇 旨味(漢字の旨味。おいしいとかんじること)やコクは料理全体の印象
つまり感じ方は人それぞれなのです。それでも出汁(だし)の効いた料理は日本食のベースであり、長く海外にいる日本人が恋しくなる味であること、つまりおいしいと思うことは大人になったらわかってくるでしょう。
その後5大栄養素のお話をして最後は生徒たちが待ちに待った実験授業。
何かを食べることができるというだけでテンションが上がっていました。
まずは、何人かに味覚の実験をしてもらいました。
● ミラクルフルーツを食べると本当に酸味が甘味に変わるの?
本当に酸っぱそうなレモンの果汁をコップ1杯飲んでみたところ、本当に酸っぱさを感じなくなって、驚いていました。このまま酸っぱさを感じなくなったらどうしようと心配になっていた生徒もいました(1時間くらいしたら元に戻ったはずです)。
「××に▲▲を混ぜると□□の味になるという都市伝説があるけど実際にはどうなの?そもそもどういうメカニズムで似た味になるの?」
● プリンに醤油をかけるとどんな味
● キュウリにはちみつをかけると??/バナナにマヨネーズをかけると??
といった味の足し算ですね。

時間に限りがあったので、準備したものすべてできたわけではありませんが、生徒たちは味覚について深く考えるきっかけにはなったと思います。
次回はいよいよクライマックス。生徒たちに「個性あふれたオリジナルのレシピ」を考えてもらうヒントを伝えたいと思います。
夏のあいだに、テーマに沿った形でオリジナルのレシピを考えてもらいます。
夏休みに自分のレシピで料理を作ったり、学校の自由研究のテーマにしてみてもよいと思います。
ちなみに生徒たちから集めたレシピはクセジュの職員で投票をして、得票数が多かったものは実際に我々で作って試食会をする予定です。
クセジュ最高顧問
鈴木 久夫
※ 食品を扱う講座では、食品衛生管理者が常駐しています
実は辛味は味覚ではなく痛覚です。少し汚いお話になりますが辛い物をたくさん食べた後に便(大きいほう)をするときお尻が痛くなることがあります。
これがまさに辛味が痛覚であることの何よりの証拠!

また、あまりの辛さに「口の中が痛い」と叫んでしまった経験談を柏にあるカレーの名店「ボンベイ」のカシミールを例に挙げてお話しました。









何かを食べることができるというだけでテンションが上がっていました。




「××に▲▲を混ぜると□□の味になるという都市伝説があるけど実際にはどうなの?そもそもどういうメカニズムで似た味になるの?」





次回はいよいよクライマックス。生徒たちに「個性あふれたオリジナルのレシピ」を考えてもらうヒントを伝えたいと思います。

夏休みに自分のレシピで料理を作ったり、学校の自由研究のテーマにしてみてもよいと思います。


鈴木 久夫
