塾クセジュ・40周年対談

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塾クセジュ・40周年対談
w_bar3-5463603-3909050開校から続く
地元に根差した教育活動


対談者プロフィール

w_bar3-5463603-3909050 管野 淳一
 一般社団法人
_教育研究所ARCS代表理事

w_bar3-5463603-3909050高校教師、塾講師を経て1984年塾クセジュを創立。「目先の点数よりもプロセスを重視」という、当時としては異例の教育方針を掲げ、受験テクニック一辺倒の時代に新風を吹き込む。
2014年に教育研究所ARCSを創立。市教育アドバイザー、高校コンサルティングを務める一方、子を持つ親のための子育てセミナー、講演、執筆活動を行う。
また、究極の子育て法を学ぶ親の会「親学」や定例セミナーを開催中。YouTube「KSチャンネル」も配信中。
space-3014206-1693669 佐々木 多門
_塾クセジュ代表
w_bar3-5463603-3909050東京大学在学時にクセジュと出会い、柏教室にて講師としてのスタートを切る。独自のカリキュラムと自由な授業に強く感銘を受けるとともに、当時一緒に働いた管野淳一、前代表の鈴木久夫から刺激を受け、以降25年以上に渡り塾講師としての歴史を歩む。
クセジュ我孫子教室開校時に教室長としてゼロから教室を立ち上げ、運営にあたった経験が「一人でも多くの子どもたちにクセジュの教育を伝えたい」という情熱の原点となっている。代表となった現在、自身の地元である柏市、そして東葛地域を教育の面から活性化させることが目標である。

 

❶ 塾クセジュ開校の経緯

佐々木クセジュは来年で40周年を迎えます。本日はクセジュ創業者の管野淳一先生にお越しいただき、色々なお話しを伺いたいと思います。よろしくお願いします。

管野:よろしくお願いします。

佐々木 : まずはクセジュ開校のいきさつについてお聞きしたいです。

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管野 :
私はもともと学生時代から学習塾で講師のアルバイトをやっていました。大学卒業後塾と掛け持ちで高校の非常勤講師も勤めていましたが、縁あって流山市の、とある塾に勤めることになったわけです。

佐々木:流山とは江戸川台のことでしょうか?

管野はい。しかしその塾とは教育方針や教室の運営法を巡って対立が起こり、私と考えを同じくする仲間と共に独立して新しい塾を創ろうということになったのです。

佐々木 : それがクセジュの誕生ですね。1984年12月のことでしたよね。

管野:今でも当時の記憶は鮮明に残っています。「新しい塾を創る」と言いましたが、正直なところ以前の塾と対立して半ば追い出される形で飛び出した私たちにとって、追い詰められた末の決断だったのです。

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佐々木:
前の塾と裁判にもなったという、クセジュの歴史を綴った小冊子の中でも書かれていた有名なお話ですね。

管野:だからこそ私たちは「何としても自分たちの理想の教育を目指し実現するぞ」という強い思いに燃えていたと思います。

佐々木:佐々木理想の教育とはどのようなものだったのですか?

管野:れまで塾というのは定期テストや入試のために「いかに点を取るか」というテクニックを授ける場であり、繰り返し問題演習を行い、解法パターンを覚えさせる詰め込みの指導が主流でした。

佐々木 : 私もクセジュで講師を始めるまで塾は「効率よく高得点をとるためのテクニックを教わる場所」というイメージを強く持っていました。現にクセジュに入社する前に大手の学習塾で講師のアルバイトをしましたが、まさにそのイメージ通りでした。

管野 : そのように思う人が大半です。でもそれでは勉強が「試験が終わればすぐに忘れてしまう空しい作業」に過ぎず、真の意味での学力は定着しないと当時から強く感じていました。

佐々木:つまり管野先生の言う開校当時の理想の教育とは「子どもたちの知的好奇心に働きかけ学ぶことの面白さを知ってもらい、将来に渡って学び続ける人間を育てること」ですか?

管野 : まさにその通りです。当時私は真剣にクセジュを「現代の松下村塾」にすることを夢見ていました。

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佐々木:
吉田松陰の松下村塾ですね。たった二年弱で日本を変える革新的な人材を何人も輩出した伝説の塾。ところで、クセジュという塾の名前はどのように決めたのですか?

管野 : フランスの大学で学び帰国した仲間の発案で決まりました。クセジュとはフランス語で、哲学者モンテーニュのエセー(随想録)にある文言です。

佐々木 : Quesais-je?「私は何を知っているのか?(いや何も知らない)」という意味の言葉ですよね。

管野:はい。学ぶ者の謙虚さと学問の奥深さを同時に表現する言葉だと思います。
Life is short, art is long.(人生は短し芸術は長し)ということわざがありますが、Artとは学問のことでもあります。

佐々木 : 学問に完成というものはない。私たちは果てしない学問の世界を探求していく上で、常に道半ばであることを自覚していたいという意味が、このクセジュという言葉に込められているのですね。

管野 : 模範解答のような回答をありがとうございます・・・なんだか感慨深いです。

space-3014206-1693669❷ クセジュを開校して一番こだわっていたこと

佐々木 : セジュ開校当時は、まさに学習塾ブームの時代ですよね。

管野:そうです。前の年まで飲食業をやっていた会社がいきなり塾を始めるなど、まさに塾が乱立していました。

佐々木 : そのような中で塾を創るわけですから、当然他の塾ではやらないことに力を入れたということですか?

管野:まず私の脳裏に浮かんでいたのは「目先の点数にこだわらない本物の学力」「入試で燃え尽きない真の学力」「結果よりプロセスを重視することで思考力を身につける」という方針でした。

佐々木 : これらの方針は現在のクセジュでも脈々と受け継がれ、理念の根本にあります。

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管野:
そう言っていただけるとうれしいです。このような理念を実現するために問題をひたすら解かせるのではなく、生徒たちに本物に触れてもらうことにこだわりました。

佐々木 : 「本物に触れる」とは、どのようなことでしょうか?

管野:例えば国語の文章読解なら、入試問題のような一部を抜粋した文章ではなく、作品(原典)そのもの―小説なら一冊丸ごと―を読んでもらい、作者の考えを多角的に考えてもらう、ということです。

佐々木 : 今も国語の授業は全く同じコンセプトです。「問題を解くために文章を読む」という発想ではなく、純粋に作品自体を味わうという姿勢がそこにはあります。私がクセジュで講師を始めたときに一番驚いたのはまさにこの国語の授業でした。

管野:社会では歴史と地理を独立して学ぶのではなく、「こういう特徴の土地だからこのような歴史があり、その逆も然り」というように、知識のつながりを重視した授業を行っていました。

佐々木 : 地政学的な観点から総合的に社会を学んでいくというアプローチですね。

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管野:
数学では定理や公式を暗記するのではなく、その公式が成り立つ理由と、その背景に力を注ぎました。そして理科でも生徒の興味を引くような実験を工夫して行ったり、アインシュタインの研究と人物に迫るビデオを見せたりしたものです。

佐々木:私もクセジュで20年以上理系教科を担当していますが、プロセスや背景を大切にする姿勢と、実際に目で見て触れて考える機会が数多くある授業に、教える側として魅力を感じてきました。

管野 : ちなみに生徒に本物を実感してもらうために、当時珍しかった大型のビデオデッキを大枚をはたいて購入しました(笑)。

佐々木:単にテクニックを教えるのではなく、学問の本質に触れて欲しいという思いがそうさせたのですね。

管野 : 生徒たちには、ただ「覚えろ!」ではなく、「なるほどそういうわけでこうなるのか」という背景や、知的好奇心を得てもらいたかったのです。

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