子どもが読書好きになるための3つのヒント

「子どもが本を読まない」という悩みを抱えているお父さん、お母さんは多いと思います。

確かに、本は読まないよりは読んだ方が良いのは事実です。しかし、「子どもに本を読ませる」ことが「目的」になっていませんか?

まずは、本を読むことで期待できる効果について考えてみましょう。

 

~本を読んだら国語力がアップするのでは…は大きな勘違い~

 読書をするとどんな良いことがあるのか? そんな問いに対して多くの人が考えるのは、

 ① 読解力がつく

 ② 語彙力がつく

 ③ 国語力が上がる

 といったところではないでしょうか。

 しかし、本を読むだけではここに挙げたような力は身につきません!

 だからと言って、本を読む意味がないわけではありません。

私の経験から見た時に、本をよく読んでいる子どもに共通しているのは、こんなことです。

 ① 文章を読むということ自体に慣れているため、長い文章を読むのが苦にならない

 ② 聞いたことがある言葉(意味が解っているかどうかは別として)がたくさんある

 ③ 本を読まない子どもよりも視野が広い

 このようなことが身についているため、本をよく読んでいる子どもは、新しいことを学ぶ際に前向きに取り組む傾向があります。

また、本から様々な情報を得ていることもあり、自分の好きな分野や世界を持っていることが多いです。

 つまり、読書のメリットは「国語力が上がる」ことではないのです。

 子どもたちの視野や世界を広げることによって、あらゆることが学びのきっかけになる、そんな土壌を作るのが読書のメリットなのです。

 

~子どもが読書好きになるための3つのヒント~

 クセジュで国語を20年以上教える中で、たくさんの読書好きな子どもたちに出会ってきました。

 その経験から見た、子どもが読書好きになるヒントを書いていきたいと思います。

(1) 親が本を読む姿勢を見せる

 親にとっては耳の痛い話になるかもしれません。

 しかし、親が本をよく読んでいる家庭の子どもは読書が好きな割合が高いです。

 リビングにいつも何らかの本が転がっている、そんな環境にいる子どもは、自然と本を読むようになります。

 子どもたちは意外と、親がどんな本を読んでいるのかに関心を持っているのです。

 だからといって、親がいきなり難しい本を読む必要はありません。

 流行りの作家の作品や、話題になっている本、時には好きな芸能人が書いたエッセーなどでも良いと思います。

 とにかく、あまり気負わずに、気楽に本を読む雰囲気を家庭内に作るのが良いのではないでしょうか。

 

(2) 大型書店や図書館を“遊び場”として活用する

 最近はインターネットで簡単に本を買うことができます。また、インターネットでは本の評判も見ることができます。

 そうなると、ついつい評判の良い本を買って子どもに読ませよう、という気持ちになります。

 しかし、評判の良い本が必ずしも自分の子どもが気に入る本になるとは限りません。

 そこで活用したいのが、大型書店や図書館です。

 とにかく、本がたくさん並んでいる場に子どもを連れていき、好き勝手に本を手に取らせるのです。

 その時に、親は子どもがどんな本を選んできても、文句を言ってはいけません。(もちろん、事前にゲームの本やマンガ以外にするなどの条件はあった方がいいと思いますが)

 むしろ、親も子どもがどんな本をチョイスしてくるのかを楽しんでください。

 最近は、その場で本を読むことができるスペースを設けている書店も増えてきました。

 まずはその場でちょっと読ませてみるのも良いと思います。

 図書館であれば、司書の方にも協力してもらうと良いかもしれません。子どもが興味のあることに関連した本を紹介してくれるはずです。

(3) 読んだ本の感想をシェアする

 クセジュの国語の授業では、一冊の本を題材にして授業をすることが多いです。

 先日、小学6年生の授業で夏目漱石の『坊ちゃん』を読みました。

 物語に登場する個性的なキャラクターに対して、みんなでああだこうだ言っている時の子どもたちの楽しそうな様子がとても印象に残っています。

 このように同じ本を読んでいる人同士が、その感想を伝え合うことも読書の楽しみの一つです。

 時には親子で同じ本を読んでも良いと思います。

 たまには。お父さん、お母さんも子どもが読んでいる本を読んでみてください。意外と感動したり、考えさせられたりすることがあるはずです。

 親子で同じ本の感想を話し合うことも、子どもにとっては楽しい時間になるはずです。

 

~読書は“遊び”であり、“楽しみ”であると伝えることが大事~

 今回、タイトルを「読書好きにする」ではなく、あえて「読書好きになる」と書きました。

 それは、私たち大人が子どもに読書をさせようと思っている間は、いつまでたっても子どもは読書をしないという現実があるからです。

 読書は誰かから教わるものではないと私は考えています。

 クセジュの国語で本を読むのは、子どもたちと一緒に感動を共有したいからです。

 

 子どもが読書好きになるかどうかは、子ども自身にかかっています。

 私たち大人にできることは、読書が楽しいんだということを伝えることだけです。

 国語のテストで点数が取れるようにとか、算数の文章題ができるようにするための読解力をつけるためなどという、目先の効果を狙ってはいけません。

 

 読書は一生に渡ってできる“遊び”であり、“楽しみ”です。

 同じ本でも、読む時期や年齢によって、感じ方が全く違ってきます。

 今はゲームやマンガに目を奪われているかもしれません。

 しかし、子どもたちが大人になった時に、本を読むことの楽しさを知っていれば、自然と本を読むようになります。

 私たち大人が考えなければいけないのは、子どものうちに読書好きにさせたいのか、最終的に読書好きな人間に育ってほしいのかではないでしょうか。

 

 繰り返しになってしまいますが、子どもたちを読書好きな人間に育てるためには、育てる側の私たちが、読書の魅力を知っていなければいけません。

 今回は子どもたちを読書好きにする、という書き出しでしたが、まずは私たちが改めて読書の魅力を実感するところから始めてみても良いのではないでしょうか。

柏教室長 宮崎 和基