日本語圏と英語圏のちがい

クセジュの日常

(最終更新日

こんにちは。松葉教室講師の小川です。
今回も引き続き「日本語圏と英語圏のちがい」についてお付き合いいただきます!

現在中学2年生の授業では、日本について書かれた英語の文章を和訳しているのですが、皆で訳の仕方を確認していると「え~なんでそうなるの~?」「わからない…」「アメリカ人に生まれたかった!」などの悲痛な叫びが教室中からしばしば聞こえてきます。ちなみにアメリカ人も第二言語を勉強しますよ。

英語を翻訳するとき、知らない単語というものが一番の障害に見えがちですが、実はそれ以上に大きな壁となっているのが、日本語と英語の文の構造の違いなのです。
たとえば「その王は その女王を 愛した。」と言いたければ、「The king(=その王は)loved(=愛した)the queen(その女王を).」となり、日本語とは違う語順となります。英語のこうした語順と同じものに、ヨーロッパの多くの言語、そして中国語などがあります。このように聞くと、日本語の語順ってもしかして少数派?と卑屈な気持ちになってしまいそうですが、実は世界的に見ると日本語と同じ語順を用いる言語の方がやや多いそうです。

英語は特に、語順を大切にする言語です。日本語であれば「その女王を その王は 愛した。」と書こうが、「その女王を 愛した、その王は。」と書こうが、「愛した、その女王を、その王は。」と書こうが、とにかく伝えたい内容は一貫して同じです。しかし英語で「The queen loved the king.」や「The king the queen loved.」と書いてしまうと、誰が誰を好きなのか伝わらなくなってしまいますよね。
どこで授業を受けていようが、英語を学ぶときは耳にタコができそうなくらい『主語+動詞!』と言われるのはそのためです。

こうしてみると、英語と日本語って全く相容れないものなの?と思ってしまいますが、実は英語にも語順が自由な時代があったのです。いわゆる古英語と呼ばれる時代のことですが、あらゆる名詞が使われ方によって形を変えていました。皆さんは「I / my / me / mine」「he / his / him / his」などを苦労して覚えたと思いますが、古英語の時代は「dog」や「apple」も同じように形を変えなければなりませんでした。「the king」であれば「se cyning(その王は)/ þone cyning(その王を)/ þæs cyninges(その王の)/ þām cyninge(その王に)」と変化します。これによって、形を見ればどういう意味かわかるので、語順にとらわれず文をつくることができていました。
なぜこのシステムが維持されなかったのか、それは皆さんもお察しかと思うので割愛します。

英語には英語のメリットが、そして日本語には日本語のメリットがそれぞれあります。それぞれの違いを意識しながら使い分けていけると、ことばを使うのがよりいっそう楽しくなっていくのではないでしょうか?