中学1年生のお父さんお母さん 定期テストのためだけなら、塾は行かなくていい
~塾講師歴27年、5000人以上の子どもを見てきた菊地の独り言~
「ねぇ、ウチの子は塾どうする?」
中学1年生のお子さんがいるお父さんお母さんは、最近数週間はこのテーマに悩まされていると思います。
近所の同級生の子がいつの間にか、塾に入っていた!
小学生の時は毎日のように家に遊びに来ていた子が、通信教育を始めたらしい!
こういった「お友達の塾情報」が、情報通のママ友から最も入ってくるのがこの4月。
まだ我が子を塾に入れていないお父さんお母さんは、なんとなく不安になりますよね。
どの塾も通信教育も
「学校の定期テストに向けて、バッチリ勉強させますよ♪」
と言ってお父さんお母さんを安心させてくれます。
塾によっては定期テスト2週間前から通常授業をストップして、学校のテスト範囲を授業したり、
土曜日・日曜日に自習室を開放してくれたりします。
通信教育はもっと過激です(笑)毎年全国の各中学校各学年の定期テスト問題を受講生から入手。
それをデータ化して問題をストックするわけです。
まさに老舗のやきとり店のタレと同じ。
その積み重ねた問題データが『○○中学校 理科対策問題集』になってしまうわけです。
子どもはひたすらその問題集を解いて覚えればいいんです。
ここまで手厚~くしてもらえたら、
中学1年生の子であっても定期テストはバッチリだと思いますよね?
定期テストの先にある入試も結構イケちゃうんじゃない?って親なら思いますよね?
残念ながら、バッチリではありません。
残念ながら、高校入試もイケちゃいません。
なぜかわかりますか?
そういった勉強は、ベルトコンベアー式の「作業」でしかないからです。
そこに子ども自身が「考えて勉強する」という意思がないからです。
ここ最近では中学校によって、定期テストの問題も変化しています。
高校入試を意識してか、思考力や表現力を問う記述問題(作文)が定期テストの中に出てくるわけです。
でも、これって本当にごく一にぎりの中学校だけ。
実際の定期テスト問題を見てみると、
私たち40代のオトナが中学生時代に受けてきた定期テストとたいして変化はありません。
あ、問題の難しさは今の方が圧倒的に上ですけどね(笑)
だから、子どもたちに中学校の定期テストで求められるのは今も昔も「暗記」でしかない。
どれだけ覚えたか?で点数が決まるわけです。
そのテストに出るポイントを
「いいか~この公式は必ず今度の定期テストに出されるから覚えろよ~!」とか
通信教育なら「○○中学校1学期中間テスト 絶対出るのはコレだ!」みたいな感じで
塾や通信教育教材は示してくれる。
じゃあ、子どもは何をすればいい?と言ったら、
目の前の出された語句や公式をただ覚えればいい。
その語句や公式の意味?
それを確認している時間はありません。
テストまでに覚えなければいけないことはたくさんあるわけですから、とにかく暗記です。
出された食事を何も聞かずに、ただ食べればいいって…それで良いの?と考えちゃいますよね。
でも……すべての塾がこういった指導をしているわけではありませんが……これがリアルです。
もちろん、こういう形であっても点数を子どもに取らせてくれればいい!
と考えるお父さんお母さんもいらっしゃるでしょう。
私もここ数ヶ月、友人が娘さん(4月から中1)の算数で困っているという相談を受け、
色々と取り組ませてきましたが当初、
400÷10=100
と自信満々に言われた時は、さすがに白目になりました(汗)。
でもここに大きなヒントがあるんですよね。
この子は「そもそも、割り算って何なの?」「割るってどういうこと?」という根本的な概念・考え方
を知らなかったんです。私はこの子に割るっていうことがどういうことか?をやさしい言葉で伝えました。
その後は分数。分数とは何か?から約分や通分の意味、さらには分数の計算がなぜそのようなプロセスを経て答えにいたるのかを、納得するまでやさしい言葉で話しました。
すると、不思議です。
つい数週間前までは3ケタの数の割り算すらできなかった子が、分数の割り算を自力でできるようになっている。
それ以上に私が感動したのは、
あれだけ「算数なんて、大キライ!!」と豪語していた子が自分から
「今日も算数の問題をやってみようと思うんだけど。」と言ってきたこと。
学力をつける上で、一番大切なのは「子ども自身が欲すること」です。
その意味では、この子はスタートラインに立てたかな~と思うわけです。
…で何が言いたいの?と思いますよね(汗)
塾で27年もやっているコテコテの塾講師である私が言うのも変ですが、
定期テストのためだけなら、子どもを塾に行かせるのはやめなさい!
ということです。
もちろん、子どもがゲーム感覚で、暗記勉強を楽しめちゃう子であれば問題ないです。
でも、お父さんお母さんが
「ウチの子には勉強すること自体の楽しさや面白さを知ってもらいたいなぁ。」
と思うのであれば、定期テストを塾選びの中心にすべきではないし、
そもそも塾に通さえることを必然!と考える必要もないと思います。
大切なことは、「子ども自身が欲しているか?」ですからね。
この続きはまだ次回に書きます。