星の王子様を精読する

クセジュの日常

(最終更新日

こんにちは、新松戸教室の濱中です。
新中1文系講座では1月の「経済のしくみ」に続いて、サン=テグジュペリの小説『星の王子さま』を学んでいます。
授業中盤からはいよいよ星の王子さまが登場、物語が動き出しました。

自分の住んでいる小さな星を飛び出して地球にやってきた王子ですが、そこでびっくり仰天することがありました。
もともと、彼の住んでいる星に花は一輪しかありません。
一輪の、美しいけれどわがままなバラの花です。
王子は大切に大切に、かいがいしくこの花の世話をしてきたわけです。
ところが、当然地球には数え切れないくらいのバラが咲いています。

「ぼくはこの世に一輪だけの、財宝のような花を持ってるつもりでいたけど、ほんとうは、ただのありふれたバラだった」

自分の持ち物はなんと価値のないものだったんだろうと、王子はがっくりとうなだれます。
そして出てくるのがこの言葉です。

「そんなものだけじゃ、ぼくはりっぱな王子さまになれないよ」

なんだかちょっと不思議な言葉ですね。
『たくさんあるものは価値が低い、貴重なものは価値が高い』というのは先月に経済学から学んだことなのでわかりますが、
それがりっぱな王子さまであることとはちょっと繋がらない気がしてきます。
では、りっぱな王子さまになるため、必要なものとは何なのでしょうか?

このようにクセジュでの国語の授業は「文章によって答える問いかけ」を中心としています。
だからこそ日々の授業から記述力が育っていくのですが、いきなり「書いてごらん」というのは、
不慣れな生徒にとってみればやや戸惑ってしまう問いかけでしょう。

そこで、私の得意とする『アイデアの井戸』というゲームで、まずはみんなの考えをアウトプットしてみました。

ルールは簡単、問いに対する答え(当然、一つではなく色々な答えがあります)で、制限時間内に四角の中をいっぱいにすること。
交代交代に、頭を絞りながらできるだけたくさんの考えを集めてみました。

そこから整理していくと、「りっぱな王子になるためには、社会に認められるような、社会的価値のあるものが必要」ということが、
ぼんやりと見えてきます。例えば財力、血筋のようなものでしょうか。能力があっても、それだけではダメなんです。
こうしていくと、あとはそこから見えてきたことを言葉にまとめていけばOK。

ちょっぴりハードルが下がったのか、みんなペンを動かしていますね。

この『星の王子さま』という小説には、「認識」や「価値」について、なかなか大人をも唸らせることが書かれています。
授業から受け取ったメッセージを、一人一人が自分なりの言葉にしていくのがクセジュの国語。
ここから日常を見る風景が変わってくれると嬉しいですね。