社会で活躍するクセジュの卒業生 -5
三根 啓吾 さん
株式会社本田技術研究所
二輪R&Dセンター
1.まずは自己紹介をお願いします。
中学1年の冬季講習に入塾し、そこからクセジュとの長い付き合いが始まりました。高校時代は当時一部有志によるQEIで、大学、大学院時代は講師として入学〜卒業まで丸々6年間お世話になりました。奥さんもクセジュ卒業生で、小学部からクセジュに通い、大学時代は講師をしていました。私は大学からは理系の道に進み、現在は海外モデルをメインにオンロード、オフロードの二輪車を設計、開発する仕事についています。2.クセジュの思い出を語ってください。生徒時代はとにかく授業が面白く、いつもクセジュに行くのが楽しみでした。それもそのはずで、当時自分に授業をしてくれていたのは若かりし頃の管野先生、鈴木先生、佐々木先生など、今や超ベテランの先生達でした。今でも覚えているのは、歴史上の偉人を自分で選びプレゼン勝負をするイベントです。
社会に苦手意識があった自分も、この時は楽しみながら歴史の調べ物をしていた覚えがあります。佐々木先生は数学者のガロアをプレゼンしてくれて、数学者という存在をこの時初めて知りました。公式や定理の背景に様々な人物が関わり、そして彼らの物語にロマンを感じました。
自分が学んでいる数学は、誰かが苦労して発見した法則だという事を知り、子供ながらに感心したことも未だに覚えています。クセジュは自分から知りたい、学びたいと好奇心を刺激してくれる機会を常に与えてくれました。
そのおかげで、テストで点を取るためだけに勉強していた自分も、学ぶことの楽しさに気づくことができたと思います。
このことが結果的に成績にも結びつき、目標の高校、大学の合格にも繋がりました。大学に入ってからは、どうしてもクセジュで講師がしたかったので片道2時間かけて通学していました。
大学の授業が終わったらそのままクセジュに行き、授業をするという生活は6年間続き、ほとんど家にはいない生活でしたね。笑
それくらいのめり込んだのは、やはり相手が意思のある「人」であることでした。
自分が生徒時代に受けた思いを同じように伝えたいという気持ちでやっていましたが、思春期真っ盛りの中学生は一筋縄ではいかず、日々試行錯誤でした。
生徒対講師ではなく1人の人として対話し、多くの子供達と共に悩み、喜べたことは今でも忘れられません。子供達の人生の重要な一面に関わることの責任の重さを、常に感じる日々でした。元生徒が同じ社会に出て活躍している姿を見ると非常に嬉しいですし、自分も頑張らなければという気持ちにさせられます。
この次は自分の子供をクセジュに通わせて、保護者としてクセジュと付き合うのが楽しみです。まだ2歳なのでだいぶ先の話にはなりますが…笑。3.クセジュで学習したこと(またはクセジュ講師として指導したこと、クセジュの事務の仕事を通じて得られた経験)が社会に出てどう役に立っているのかについてお話しください。クセジュの生徒時代、講師時代を通して知らないことを学ぶこと、そして物事の本質を理解、追求することの大切さ、そして楽しさを知りました。
物事の全てを理解することは難しいですが、「なぜ?」と考える姿勢は、社会に出てから大きく役に立っています。今の設計業務では、部品を設計するにあたって仕様の妥当性を論理的に説明する必要があります。
形状、構成、材料、表面処理など無数の項目について、自分が決めた理由を説明できなければいけません。なぜその形なのか?なぜそうしたのか?と聞かれた時に、理論立てた説明で相手を納得させられることが求められます。「なぜ?」と考えることから、最適な設計が始まるのだと思います。
また、開発中にトラブルが発生した時は、物理の原理原則に立ち戻って問題の本質を見抜けるかどうかが解決への鍵となります。発生事象を表面的に捉えるのではなく、問題は何か、真の原因は何かと、その背後に隠れた問題の本質を見抜くことが重要です。
よくよく分析していくと、実は全然大した問題ではなかったり、思いもよらないことが原因だったりすることが多いものです。問題を表面的に判断して痛い目に合うたびに、この事を痛感します。自分の頭を使って「なぜ?」と考える事は本当に大事ですね。4.クセジュ生、さらには未来のクセジュ生へのメッセージをお願いします。クセジュには色々な学びのチャンスが待っています。学校の勉強内容はもちろんですが、先生が話してくれる色々な話や経験談も好奇心を刺激してくれるものばかりです。何のために勉強するのか?自分はこの先どうなりたいのか?迷うことや不安に思うときもあると思いますが、自分が面白いと思ったことに1つ集中してみると良いかも知れません。疑問に思ったことを先生を困らせるくらい「なぜ?」と質問してみるのも良いかも知れません。折角のチャンス、学校じゃ得られない経験をたくさん学んでみて下さい。最後になりますが、クセジュの先生や仲間との時間は一生の思い出になると思います。思う存分楽しんで下さいね!
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