塾クセジュ・40周年対談

❸ クセジュの教育理念が反映されたオリジナルイベント

佐々木:クセジュには授業の内外で様々なイベントがあります。それらも全て管野先生が掲げた理念を体現するものばかりだと感じております。開校当時からこのようなイベントは行っていたのでしょうか?

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管野 :
例えば、授業の時間を使ったディベートは開校時から導入してきました。生徒間、そして講師との対話を重視した授業は、アクティブラーニングの先駆けと言えるでしょうね。

佐々木 : 入社時に私が最も印象的だったのは中2で扱う志賀直哉の作品「范の犯罪」に関するディベート授業です。その日はクラス合同で行っていましたが、学力に関係なく生徒たちの発想力や着眼点の素晴らしさを目の当たりにしました。

管野:むしろ学力的にぱっとしない子がディベートで活躍して自信をつけ、その後大きく伸びるなんていうことはたくさんありましたよ。

佐々木 : テーマを決めた学習活動も特徴的でしたよね。当時はテーマ学習と呼んでいましたが、今では小学部の個性発掘プログラム、中学部の得意伸展講座といった名前で継承されています。

管野:テーマ学習では例えば「戦争」「死刑制度の是非」「相対性理論」など、授業ではなかなか説明し切れない社会問題や科学理論について、テーマを設け調べたり、考えたりしながら理解を深めてもらいました。

佐々木 : ディベートやプレゼンのやり方も並行して指導できますし、生徒たちは常に新鮮な気持ちで臨んでくれますよね。

管野:実は開校当初、一番やりたかったのがこのような総合的な知の学びでした。教科の枠にとらわれない大きな視野で勉強を捉えて欲しかったのです。

佐々木 : まさにリベラルアーツですね。日本の教育はどうしても目先の勉強に偏るところがあり、それが勉強をつまらなく感じさせてしまう原因になっていると私も強く感じます。

管野 : 日本でいう勉強は、学問の探求というよりはむしろ問題解法の技術を重視しています。だから、入試が終わると途端に勉強しなくなる子どもたちが非常に多い。本来は大学から本格的な学びが始まるはずなのに、大学受験がゴールとなってしまっている現状は由々しき問題だと感じています。

佐々木:その他に力を入れてきた取り組みはありますか?

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管野 :
護者との密な対話です。理由は2つあります。まず、何しろ私たちの塾の理念、教え方は他とは違う独自性の強いものだからです。塾のカリキュラムや教育法についてあらかじめ親の皆さんにしっかり説明し、理解を求めたいと思いました。

佐々木:実際、理解が得られない場面などありましたか?

管野 : ありましたよ。「訳がわからないことをやらなくていいから、学校の定期テストの対策をやってくれ」という、保護者からの苦情の電話もありました。そういう意味でもしっかりとクセジュ教育の商品説明を保護者の皆様にしていくことの重要性を感じ、保護者会や懇談会を実施してきました。

佐々木 : もう一つの理由は何でしょうか?

管野 : それは私の個人的な思いと関係しています。私はクセジュ開校以前からいくつかの塾で講師として働いてきましたが、そこには常に若くて未熟な私を支えてくれた保護者の方々がいました。

佐々木:確かクセジュ開校のときも困難な状況にある中で勇気づけ、励ましてくれる保護者の存在がありがたかったと言っていましたよね。

管野:そうです。支えてくれる親の皆さんへの感謝の気持ちが、数多くの保護者会や講演会、報告会、親子学習会というイベントという形になったのです。また小学生の卒業論文発表会や遠足旅行、観劇などにも保護者に参加してもらい、我が子の成長ぶりを喜んでもらう機会も設けていました。

佐々木:私も、クセジュの理念を理解してご協力くださる親御さんたちを本当にありがたく感じております。

space-3014206-1693669❹ 卒業してからわかる「クセジュの良さ」「クセジュで学んだことの価値」

佐々木:卒業生からクセジュの思い出などを聞く機会はたくさんあると思いますがどういう意見が多いでしょうか。

管野 : 色々ありますが大別すると「先生方の熱意」「授業の面白さ」「イベントが役に立った」という3点ですね。

佐々木 : 先生の熱意に関しては授業の工夫だけでなく、個人的な悩みを聞いてもらったり、勉強の質問に深夜まで付き合ってもらったりしたことなどですかね?

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管野 :
うです。特に授業に関しては教科の内容そのものよりそこから派生する、背景やエピソードの話が強く印象に残ったと言われますね。

佐々木 : その他どのような意見がありますか?

管野卒業後に大学などで習う知識がすでにクセジュのイベント学習などで教わった内容と同一であることに気づき、改めて「クセジュの教育レベルを再認識した」という声もよく聞きます。

佐々木:それは私もよく聞きます。大学の教養講座の授業で、クセジュで習ったことがたくさん出てきたと興奮しながら報告しに来る卒業生もいます。

管野 : あと、ほとんどの卒業生が「クセジュはとても楽しかった」と言ってくれることです。

佐々木 : それは先生と生徒の距離が近いこと、さらに生徒同士の仲の良さというか結束が強いことも影響しているのかもしれませんね。

管野 : 少し質問の趣旨とは離れますが、クセジュの卒業生同士がその後も長く「同窓会的な集まりをしている」こともよく聞きます。(卒業生同士が結婚していたり…)

佐々木:最近では、卒業生のお子さんが入塾してくるケースもとても増えていますよ。管野先生に習っていましたという親御さんの多いこと。

管野 : 本当にありがたいことですね。親子二代に渡って通ってくれること。そういう家庭が増えていることに私は言葉にできないくらい喜びを感じています。

space-3014206-1693669❺ 40周年を迎えるクセジュの未来像

佐々木:最初にもお話ししましたが、クセジュは来年いよいよ40周年を迎えます。このような規模の塾が40年も同じ地域で教育活動ができるということに対してクセジュ代表として誇らしく思います。管野先生はどのように感じますか?

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管野 :
本当に感慨深いですね。クセジュを創立したのは私が30歳になる直前でした。今年私は70歳になります。こうしてみると40年という長い月日が経ったのだなと思う反面、あっという間の40年だったようにも思えます。

佐々木:当時と今を振り返ってみて感じることは何ですか?

管野 : 開校当初ユニークかつ斬新だったクセジュの教育理念や教育法すなわちアクティブラーニングやリベラルアーツ的な考えは、今や教育界の常識になりつつあります。そういう意味では「時代がクセジュに追いついた」とも言えます。

佐々木:40年前に抱かれていた教育観がまさに現実になっているわけですね。

管野:そう言っていただけるとうれしいです。これからクセジュはさらに新しい試み、真の意味での人間教育を求めてさらなる高みを目指して欲しいと思っています。

佐々木 : 管野先生の言う人間教育とはあらゆる分野でリーダーシップを発揮できる人間を育てる、つまり社会貢献する人間の育成ですか?

管野 : その通りです。偉そうな言い方になりましたが、クセジュの40年の伝統を活かしながらも、さらなる進化を目指して発展していって欲しいと思います。

佐々木 : そこは私自身も強くこだわっていきます。かつての松下村塾のように、塾こそが本当の教育、今の日本に必要な教育を最も自由に提供できるという自負を持っています。クセジュの伝統や開校から今に至る熱い思いをしっかりと引き継いでいきます。

管野:佐々木先生。ありがとうございます。期待しております。最後になりましたが、この40年間クセジュを支持してくださった生徒、保護者の皆さん。そしてスタッフの方々に心からの感謝を伝えたいと思います。

佐々木:管野先生。ありがとうございました。これからも教育研究所ARCSのほうで引き続き教育活動に専念してください。また、クセジュにも講演会等でお呼びする機会も作りますので、その時にはまたよろしくお願いします。

管野 : こちらこそありがとうございました。

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